新たな報告書は、AI電子廃棄物の統計範囲をサーバーやGPUからデータセンター全体にまで拡大した。その結果、数字は一気に40〜60倍に跳ね上がった。2025年から2050年までに退役するAI関連電子機器の累計は3.95億〜6.17億トン、ピーク時は40フィート標準コンテナ約2300万個分に達し、繋げれば地球6周分にもなる。本来の主役はチップではなく、長年見過ごされてきた電力供給・冷却・非常用電源といった電気機械(机电)設備だ。世界の正規リサイクル率は4分の1にも満たず、このつけは静かに膨らみ続けている。

これまでのAI電子廃棄物の計算は、レストランの厨房にある鍋だけを数え、灶台や排気ダクト、煙の浄化装置を忘れていたようなものだ。メニューに一品追加されるたびに、厨房のライン全体が古くなっていく。データセンターも同じで、GPUが花形だが、その稼働可能期間と廃棄時の物量を本当に決めているのは、見えない電気機械の筋肉層だ。比喩はここまでにして、現実の違いはこうだ。レストランの鍋交換は手間で済むが、データセンターの電気機械設備の刷新は、数百万〜数千万トン規模の有害ハードウェアがリサイクル市場に流れ込むことを意味する。しかも世界の正規リサイクル率は4分の1にも満たない。
出来事

AI電子廃棄物の計算、従来より40〜60倍も過小評価されていた

9月15日、バーゼル・アクション・ネットワークが統計の範囲をGPUから施設全体へ広げた。同じデータセンター、同じ期間でも、廃棄量は40〜60倍に膨れ上がる。

発表したのは、シアトルに本部を置く非営利団体バーゼル・アクション・ネットワーク(BAN(有害廃棄物の貿易を追跡する国際NGO))だ。報告書は一つの問いを突きつける。AIが遺す電子廃棄物は、果たしてどれほどの量なのか?

従来の研究はGPUとサーバーだけを見ていた。だがデータセンターを動かすには、電力供給、冷却システム、非常用電源、ネットワーク機器といった電気機械設備一式が要る。BANがこの範囲を統計に加えた瞬間、推計は40〜60倍に跳ね上がった。

3.95〜6.17億トン
2025〜2050年のAI関連電子廃棄物累計予測
出典:Basel Action Network (BAN)
2300万個
40フィート標準コンテナで満載した場合の数量
出典:Basel Action Network (BAN)
約87%
従来の統計で見落とされていた電気機械インフラの割合
出典:Basel Action Network (BAN)
25%未満
世界の電子廃棄物のうち正規収集・リサイクルされる割合
出典:Basel Action Network (BAN)

この試算の根拠はこうだ。報告書はマッキンゼーの予測を引用しており、2030年までに世界のデータセンター総容量は最大219GW(ギガワット。発電所やデータセンターの発電容量を表す単位)に達する見込みとされる。BANはさらに、容量1GWあたり7万トンの電子廃棄物が対応すると換算し、電気機械設備がその大部分を占めるとした。

重要性

「地球6周分」は誇張ではなく、新たな計算結果だ

AIのハードウェア代はこれまで過小評価されてきた。サーバーとGPUだけを数えていたが、本体コストを左右するのは電気機械設備だ。

3.95億〜6.17億トン——バーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)が試算した、2025〜2050年にAIによって退役する電子機器の累計重量だ。40フィート標準コンテナに積み込んで地球6周に相当する量であり、2050年には世界の電子廃棄物総量のうち15〜20%がAI機器および関連設備由来になるとBANは見る。つまり、AIが電子廃棄物の主要な発生源に育つという予測だ。

従来の研究はGPUとサーバーだけに注目していた。BANは電力供給、配電、冷却、非常用電源、ネットワーク機器をすべて算入した結果、これらの電気機械設備がデータセンター全体の重量の約87%を占めることを明らかにした。BANの計算方式では、データセンター容量1GWあたり7万トンの電子廃棄物が対応する。マッキンゼーは2030年までに世界のデータセンター総容量が最大219GWに達すると予測している。

数字の膨張が招く帰結は、環境と健康に影響を及ぼす。年間6830万トンの電子廃棄物が世界中で発生しているが、正規に収集・リサイクルされるのは4分の1未満で、残り大半は「非正規」リサイクルルートに流れる。機器は焼却や埋め立てに回され、鉛やクロムといった有害物質が放出される。世界保健機関(WHO)は、リサイクル作業やリサイクル拠点周辺で暮らす数百万人の子どもたちが、こうした影響による健康リスクに直面していると指摘している。

米国はデータセンター数が世界最多だが、危険廃棄物の国際貿易を制限するバーゼル条約をまだ批准していない。調査によれば、米国のリサイクル業者は今も電子廃棄物を海外に輸送しており、それが「裏庭リサイクル」工程に流れ込んでいる。

一般人に関わるのは「AI廃棄物拡散」だ。通信インフラのアップグレードが必要になるほか、AIの進歩により前倒しで淘汰される個人デバイスも買い替えが進む。演算能力が高まるほど更新は速くなり、廃棄物はより早くリサイクルチェーンへ流入する——正規ルートではさばき切れない量だ。

主犯はGPUでもサーバーでもない。電気機械設備という地味な脇役こそが、AI廃棄物の重量を押し上げている。